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【ブログ】身近なようで意外と知らない、抹茶のおはなし

こんにちは。八王子の日本茶専門店・網代園です。

年の瀬が近づいてまいりました。
この時期、抹茶味のお菓子やスイーツを見かけることが増えてきませんか。

実は、11月は抹茶の旬。
今回は、意外と知らない抹茶の豆知識をご紹介します。

 

  

抹茶ってどんなお茶?

公益社団法人日本茶業中央会では
覆下栽培した茶葉を揉まずに乾燥させた茶葉(碾茶)を
 茶臼で挽いて微粉状に製造したもの

と定義されています。

少し複雑なので、ポイントを取り出してみましょう。

覆下栽培(おおいしたさいばい)…
茶園に覆いを被せ、一定期間日光を遮り育てる手法。
玉露などと同じ栽培方法で、うまみやコクが増すといわれています。

碾茶(てんちゃ)…
覆下茶園で育てた茶葉を蒸し、乾燥させてつくられた抹茶の原料。
煎茶のように茶葉を揉む工程がないため、青のりのような形状をしています。

茶臼(ちゃうす)…
茶葉を挽いて抹茶にするための石臼のこと。
一定の速さで挽く必要があり、1時間で生産できるのはわずか40gほど。
近年は、機械挽きで製造される抹茶も増えてきているようです。

一般的な日本茶(煎茶)も抹茶も、緑茶の仲間ではあるのですが
こうしてみていくと、見た目(茶葉の大きさや形状)だけでなく
栽培方法や製造方法など、いろいろな違いがあることがわかります。

 

  

粉茶や粉末茶とは、どんな違いがあるの?

さて、粉末状のお茶といえば
抹茶以外に、粉茶や粉末茶を思い浮かべる方も少なくないと思いますが
これらは碾茶(てんちゃ)ではなく、主に煎茶が原料として使われています。

せっかくですから、もう少し細かくご紹介しますね。

粉茶(こなちゃ)…
製造過程で茶葉にふるいをかけ、一番細かい粉状の部分だけを集めたもの。
抹茶のように茶筅(ちゃせん)は使わず、急須や茶こしで淹れます。
お寿司屋さんの「あがり」には粉茶が使われることが多く、
程よい苦みが口の中をさっぱりさせてくれます。

粉末茶(ふんまつちゃ)…
粉砕機などの特殊な機械を用いて、茶葉を粉砕したもの。
お湯や水に溶かして飲むことができ、茶殻が出ません。
回転寿司やさんでは、こちらのお茶が主流になりつつありますね。

この中でも、抹茶の粒子は非常に細かく(5~10ミクロン程度)、
なめらかな口当たりを楽しむことができます。

よければ実際に見比べ、飲み比べてみてください。

 

  

抹茶の旬はどうして11月?

今でこそ、抹茶=日本の文化というイメージが定着しているものの
もともとは唐~宋時代の中国から伝わりました。

茶の粉末をお湯に入れてかき混ぜる、現代に通じるこの手法は
本家の中国では、明時代以降に廃れてしまいます。

一方日本では、千利休によって茶の湯が確立し、独自の発展を遂げました。

ひと夏の間、茶壺の中で保管・熟成させた新茶を取り出し
抹茶に挽いて客に飲ませる「口切の茶事」という行事があります。

口切の茶事は毎年11月(陰暦10月)の初めごろに行われ
今でも、茶人の正月と呼ばれているほどの重要イベント。
だから抹茶の旬は、新茶から約半年遅れ、11月ごろにやってくるんですね。

  

 

まとめ

海外のMACHAブームも盛り上がりをみせており、
これからも目が離せません。

奥が深い抹茶の世界、
ぜひ一歩、足を踏み入れてみてください。

それでは皆さま、すてきなお茶時間を。