お知らせ・コラム
福茶-季節の節目に味わう福招く茶のハナシ

明治24年創業、八王子のお茶屋・網代園(あじろえん)です。
旧年中は大変お世話になりました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、今回は冬の縁起物・福茶(ふくちゃ)のおはなしです。
人々の願いや暮らしと深く結びついてきた、独自のお茶文化。
その由来や意味、楽しみ方など、わかりやすくご紹介していきます。
-目次-
1. 福茶ってどんなお茶?
・ 縁起を味わう〈 福茶 〉
・ お正月を彩る〈 大福茶 〉
2. 福茶にはどんな歴史があるの?
・ 福茶で人々を救った〈 空也上人 〉
・ もっとも古い〈 庶民の茶 〉
3. 福茶は手作りできる?
・ 自家製〈 福茶の作り方 〉
・ 〈 福茶と節分 〉の意外な関係
4. 終わりに
1.福茶ってどんなお茶?

まずは、福茶の概要からご紹介します。
〈 福茶 〉
福茶(ふくちゃ)は、お正月や大みそか、節分など
年の節目に無病息災を願う縁起物のお茶です。
主に京都を中心とした地域で古くから親しまれている慣習で
西日本ご出身の方には馴染みがあるいっぽう、
地域によっては、あまり知られていないことも。
年末が近づくと、お茶屋の店頭に福茶が並び始め
お正月らしい華やかなパッケージで店内を彩ります。
味わいは商品ごとに異なりますが、梅干し・昆布・豆など
茶葉以外の具材が加えられていることが多く
旨みや塩気、豆の香ばしさなどが重なり合う独特の風味が特徴です。
〈 大福茶 〉
なかでも、お正月にいただく福茶を
大福茶(おおぶくちゃ・だいふくちゃ)と呼びます。
茶道の世界では、元旦の早朝に汲んだ若水(わかみず)で点てた茶を
大福茶と称し、年初めの行事・初釜(はつがま)で服すのが習わし。
年のはじまりを祝う大福茶は、お茶の湯でも、家庭の食卓でも
新年の喜びと健やかに一年を過ごす願いが込められているのです。
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2.福茶にはどんな歴史があるの?

福茶のはじまりは、平安時代にさかのぼります。
〈 空也上人 〉
福茶の起源として語り継がれているのが、
空也上人(くうやしょうにん)にまつわる伝承です。
平安時代、京都の町に疫病が流行した際、僧侶である空也上人が
梅干し・昆布とともに茶を振る舞ったところ、多くの病人が快復。
この功績を讃え、 村上天皇が王服茶(皇服茶)— 天皇が元旦に服する茶 — を
宮中儀式に取り入れたことで、一般にも知られる行事となりました。
今でも、空也ゆかりの六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)では
正月になると、参拝者に福茶が振る舞われています。
〈 庶民の茶 〉
中国から伝わったお茶は、貴族や僧侶など
限られた人しか口にすることができない貴重品でした。
このころ、庶民のお茶に関する唯一ともいえる伝承が
先述の福茶にまつわるエピソードなんだそう。
庶民に伝わった福茶の慣習は、
お砂糖を加えたり、お茶請けに栗や柿を添えたりと
地域ごとにさまざまな作り方・飲み方が生まれました。
まさに、福茶が庶民の文化として発展してきた証といえるでしょう。
3.福茶は手作りできる?

ありがたいことに、今年の福茶は大晦日前に完売してしまいましたが
市販のものが手に入らないときは、自宅にある材料でつくることができます。
〈 福茶の作り方 〉
福茶の作り方は、とっても簡単。
梅干し、昆布(塩昆布やつくだ煮)、豆(黒豆・大豆)などの材料を
あらかじめ湯呑みに入れておき、お茶や熱湯を注ぐだけです。
ちなみに
梅干しは、三毒(欲張り・怒り・迷い)を断つ
昆布は、 喜ぶ(よろこぶ)の語呂合わせ
豆は、 まめに暮らせる という意味が込められており
それぞれ縁起のよい食材といわれています。
普通の緑茶以外に、玄米茶やほうじ茶を使ってもよいですね。
オリジナル福茶を召し上がったら、ぜひ感想をお聞かせください。
〈 福茶と節分 〉
節分は、文字どおり、季節を分ける「節目の日」。
昔の日本は、立春(2月4日ごろ)を一年のはじまりと考えていたため
その前日である節分は、旧暦の大みそかにあたります。
大みそかの夜に福茶を飲むという習わしが、
現代では、節分の夜に飲む習慣へと変化しました。
豆まきで余った福豆を軽く炒り、福茶に加えるのもおすすめです。
「残りものには福がある」かもしれませんよ。
4.終わりに

福茶のおはなし、いかがでしたか。
古くより庶民の味方であった福茶は、誰でも気軽につくれるのが嬉しいところ。
今まで飲む習慣がなかった方も、今年はぜひチャレンジしてみてください。
皆さまが一年健やかに過ごせますよう、心よりお祈りいたしております。
コラムでは、皆さまからのささいな疑問や
テーマのリクエストを受け付けております。
お茶に関するご質問・ご相談などがありましたら
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最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
ステキなお茶時間をお過ごしください。